PISパートナーズ コラム

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『性弱説のすすめ』―その1:メルマガ創刊号より

少し長い休みがあると、「よし、この休みで普段できなかったことをやろう」と意気込むものです。しかし、いざ休みが終わってみると、「こんなハズではなかった」と思うことがよくあります。

ダイエットや資格の勉強についても、計画どおりにいかないことは、よくあります。
100年以上も前に、福沢諭吉は「学問のすすめ」の中で、「もともとやろうとしていることの難しさを甘く見積もっていたのか、己の能力を過大に見積もっていたのか、のどちらかである」としています。だからこそ、学問で力をつけてその両方を解決できる人間になりなさいと説います。

では、今の会社の中を見回してみると、どうでしょう。
環境が厳しくなる前からも同じ仕事をしていても「できる人」と「できない人」の差は歴然とあります。昨今の不況で、その差は、ますます大きくなっている気がします。

能力の差や「やる気」の問題で片づけられるほど、単純ではありません。能力を出し惜しみしている人や「適当にさぼろう」という人は少ないと思います。心の奥底では、「なんらかの貢献をしたい、できるようになりたい、なれたらいいな」と思っているはずです(ここまでは性善説)。

ただ、その思いが強く持続でき、行動できる人と、思っていても途中でくじけてしまう「弱い人」がいるのです。その弱さは、絶対的なものではありません。ある分野では「強い」人でも対象や環境が違ってしまうと「弱い人」になってしまいます。(たとえば、業務の負荷やプレッシャーが、今の倍になった場合を想像してみてください。)

その「弱さ」をサポートしていくことが必要になります。性善説を前提としながら、さらに一歩進めて「性弱説」に立たないと、人をマネジメントできなくなりました。そのことを無意識のうちに分かってきたので、多くの企業でコーチング研修が採用されました。
コーチングは極論すると「弱さ」を前提とした指導スタイルです(これには異論や反論もあるとは思いますが)。

しかし、マネジャーの頑張りに依存するコーチングは限界があります。この厳しい環境の中で育成よりも、自ら業績をあげることがますます求められています。マネジャーの業務はパンク状態です。マネジャーの「弱さ」にも目を向けた取り組みが必要です。

「性弱説」に立ち、組織として、個人の「弱さ」を仕事の仕方やしくみでカバーすることがより重要です(これについてはhttp://www.pisp.co.jp/column/3.htmlを参照)。弱い人間がくじけないような働き方やしくみを「創造する」必要があります。まさに、マネジメントは創造です。

ところが、同じ会社で同じような仕組みや働き方を採用していても、営業所やチームによって業績や成果の差がうまれてきます。たとえば「改善」に取り組んでも、成功する職場と途中で挫折する職場に分かれます。

何が、その違いをもたらすのでしょうか。私は、組織風土が大きな要因だと思っています。


*この組織風土については、次の号でふれます。